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~笑いあり涙ありの介護経験とともに~“優しさを伝えるケア技法”を広める「ユマニチュード地域リーダー」 Vol.1 下島康則さん

今回は、福岡市でユマニチュード®の普及に尽力されている地域リーダー第1期生の下島さんに、ご自身の介護経験からユマニチュードとの出会い、そして地域での活動にかける熱い想いを伺いました。
妻の介護で得た3つの経験
奥様(せっちゃん)の介護経験を持つ下島さん。友人から「(奥様の表情が)鬱になった知り合いの表情に似ている」と指摘され、奥様を病院に連れて行ったことが、介護の道の始まりでした。初診は2006年でしたが、前頭側頭型認知症と診断されたのは2011年でした。先の見えない暗闇の中で、3つの経験がご自身の介護生活に大きく影響していると言います。
(下島さん)
「1つ目は、医師や医療関係者と話す中で介護の覚悟を決めたことです。2つ目は、家族の会の仲間との交流で、先の見えない中、一人じゃないことを知り、暗闇の中から抜け出すことができました。そして3つ目が、ユマニチュードとの出会い。ユマニチュードの哲学を学ぶことで、妻の身になって、その技術を受け入れられるようになりました。」

ユマニチュードとの出会い
介護ケアに悩んでいたところ、家族の会の仲間から紹介されたのが、下島さんとユマニチュードの出会いでした。
最初は紹介者の顔を立てるためという気持ちで家族介護者向け講座に参加されたそうですが、ジネストさん(ユマニチュード考案者)がご老人の手に触れ、緊張を解いている映像を見たとき、「妻の拘縮した手を動かせるかもしれない」という興味が沸いたそうです。
(下島さん)
「講座受講後、毎週1枚ずつ、3か月間、ユマニチュードの技法が書かれたポストカードが送られてきました。1か月目は、『わー、きつい。毎日同じことをやらなきゃいけないのか』と、半ば強制感がありましたが、2か月目は、『しょうがないなぁ』と、何とか受け入れながら実践を継続。そのうち徐々に効果を実感し、3か月目は『次、早く来ないかなぁ』と、待ち遠しくなりました。」
そして、3か月が終わる頃には、「もっと続かないかなぁ」に変わったそうです。実践を続けることで、これは机上の空論ではないと確信されたとのことでした。

(下島さん)
「特に印象的だったのは、『話すときは正面から』というカード。こっちにやましいことがあると目をそむけてしまって全然見られない。すると妻も目をそむけるんです。
包括的コミュニケーションに基づいたケア技法
ユマニチュードの技術の重要な点として、下島さんは、言葉がない状況でのコミュニケーションを挙げます。

(下島さん)
「介護に関わる多くの人は『思いやり・寄り添い』だと言いますが・・・。会話ができるなら言葉で伝えることができます。しかし、言葉が出ない、話せない場合はどうやってコミュニケーションするのか?そのヒントがユマニチュードにはあったのです。」
「ユマニチュードの技術を知ることで、介護者が変わり、大きくなれます。自分が変わることで介護がうまくいくことを実感しました。『これは妻から自分が変えさせられているんだな』と。自分が変わることで、妻の表情も柔らかく、ほーっとしたいい顔になっていきました。」
ジネストさんが自宅に来て指導してくれたり、奥様の拘縮の状態が変化したりと、ユマニチュードの実践を通して、自分自身の正直さや内面と向き合うことの重要性を痛感したとのことです。
「早く知って欲しい」という想い
「こんなに素晴らしい技術だったら、初期段階の方々にこそ早く知って欲しい」という思いが、ユマニチュード地域リーダーとして精力的に活動する原動力になっているとのことです。
(下島さん)
「コロナ禍で面会が困難となり、認知症の方へのケアが難しくなっている中、ユマニチュードが、表面的な言葉や形だけの思いやり・寄り添いではなく、もう一度ケアの原点に立ち返るために不可欠な要素だと思っています。
「今後は、認知症の初期段階の方や、将来、介護を担う可能性のある意欲的な若い世代の方々へのバックアップに尽力したいです。」

<取材後記>
大切にお持ちのせっちゃんと一緒に撮った写真を見せてくださいました。近々、せっちゃんが行きたがっていたというトルコへ旅行する予定だと嬉しそうにお話しくださり、改めてその絆の深さを感じました。